時間の指定は高く付く

引越しは午後便を頼んだので、早めの昼食を済ませ、荷物の梱包もきっちり終わり、近所の挨拶を済ませてスタンバイしているのに、お昼を過ぎてもなかなかトラックがやって来ない。

しびれを切らして「今、どの辺ですか?」と電話で尋ねると、前の引越しがまだ終わっていなかったということが、実際には起こりがちです。

開始時間が決められるのは午前便に限る

引越しのはっきりした開始時間をあらかじめ設定できるのは、残念ながら朝イチ便と呼ばれる午前便しかありません。

これでしたら、朝、会社にスタッフが出社し、そこからトラックに乗り込んで出発するので、予定していた時間に狂いなく引越し作業を開始することができます。

午前便は時間が決まっているので予定が立てやすく、その日のうちに頑張って荷解きがある程度進めば翌日から出勤や通学が可能なため、人気が高く、午後便に比べて2割かそれ以上に高い料金設定としている業者がほとんどです。

対して、午後便は、1件目の引越しの荷造りがまだ途中で、準備が整うまでトラックで待たされたり、荷物がスムーズに運び出せなかったリ、移動の途中で渋滞に巻き込まれたり、色々なトラブルが発生することがあります。

それによって想定外の時間が掛かり、その分、次の引越しに影響し、2件目の開始時間は大幅に遅れることもあります。

時間を取るか、安さを取るか

荷物が少なめで近距離で半日もあれば終わる引越しなら、午後便、フリー便などを利用することができます。それぞれの便では、料金設定が異なります。

  • 午後便は夕方からになることもある

引越しプランの午後便は、午前便の引越し作業が終わってから向かいます。

午前便がよほどの近距離で荷物が少ない場合は早目に終わることもありますが、そうでない場合は、午前便といえども、当然終了時間は午後にかかり2時や3時になることはざらにあります。

その後の午後便は、3時や4時からの開始となるのもよくあることです。繁忙期などでは、午後便ということでお昼を早めに済ませて待っているのに何時間も音沙汰なしで、もう夕方になってしまう、という話を聞くことがあります。

繁忙期では引越しが重なり、同じマンションで引越しが重なるとトラックの駐車場所が玄関の真ん前に停められず、離れたところから搬出や搬入をしなければならないこともあり、思わぬ時間のロスが生じることがあります。

エレベーターの使用も、台数が少なければ交代で使うことになり、待ち切れない時は、小物なら階段を使って運ぶこともよくあります。

そのため、繁忙期の時間を読むことは非常に難しくなります。繁忙期に限らなくても、大安の休日や、学校の夏休みや冬休みでも引越しの需要が多く、大きなマンションでは、たまたま引越しが重なったりすることはよくあることです。

  • フリー便なら尚更いつになるか分からない

業者によりフリー便を扱っているところもありますが、これは引越しの当日、トラックが来て作業開始できる時間を業者に一任するという極めてリスクの高いプランです。

そのため、価格設定は午前便や午後便に比べると格安になっています。

場合によっては夜遅い時間の作業も覚悟しなければならないことから、荷物の多い人や閑静な住宅地に引越しをする人には向いていないプランです。

裏を返せば、夜遅い時間の作業になっても迷惑にならない環境で、荷物が少なく、時間に融通がきき、引越し料金をなるべく安く抑えたいという人には向いているプランといえます。

ただし、てっきり夜遅くにトラックが来るものと思って油断していたら、引越し前日に朝イチで向かうと言われる例もあるので、事前に準備はしっかりしておきましょう。

  • 搬入時間だけなら指定できるサービスも

家族と住んでいて、就職のため自立したり、自分だけが単身赴任で引っ越さなければならない場合などは、家族の立ち会いがあるなら、自分はその場にいなくても引越しの開始時間は気にしなくても大丈夫ですよね。

逆に、転居先では自分一人しかいないので、何とか都合を合わせなければならず、時間が分かった方がありがたいでしょう。

そんなときは、配送時間のおおまかな指定ができる単身専用の引越しプランを売りにしている宅配便兼業の業者もあります。宅配便の配送ルートに引越しの荷物を一緒に積んで輸送することで荷物を指定した時間帯に届けるのです。

単身で自分しか荷物を受け取ることができない忙しい人にぴったりなサービスですね。

なぜそんなことができるの?

全国に多くの拠点を持つ大手宅急便ならではの幹線ネットワークを使い、他の宅急便や引越し荷物を混載することにより、効率よく安くて速い運送が可能だからです。

たとえばヤマトでは、9時から18時までの間で荷物の受け取りを時間指定できます。

単身引越しとはいっても、見積もりをしっかり行い、引越し資材の提供もあり、家具や家電の梱包もしてくれますし、テレビや洗濯機もセッティングしてくれるので、通常の引越しプランと同様の流れになっていて、有料のオプションサービスを付けることもできます。

ただし、到着は翌日以降となります。時期や距離により日数が掛かる場合もありますので、その都度、問い合わせるようにして下さい。

日通の単身パックS・Lも、サイズ別のパックに詰めるだけ積んでもらうサービスなのですが、これも翌日以降の配達時間の指定ができます。

時間帯は朝の9時から夜の21時まで、4つの時間帯を選ぶことができます。ただし、引越しをする期間やエリアにより、午前と午後の2区分となることがあります。

繁忙期は時間通りと思ってはいけない

安くお得に引越しができ、しかも貴重な時間を有効に使えるプランですが、引越しが集中する繁忙期は、必ずしも希望の時間帯通りに配送できるという確約が難しいため、サービスを先着順としたり休止したりすることがあるかもしれませんので、前もって確認が必要です。

同じ業者でも、支店や営業所によって扱いが異なる場合もあります。繁忙期以外でも、サービスの休止日を設定している場合もあります。

まとめ

午前便以外の時間指定は前の引越しの進行次第になるため、不確実と言わざるをえません。

それを見越して午後便で引越し料金を安く抑えたいなら、引越し当日は他の予定は入れず、時間の余裕のある日に設定するのが理想といえるでしょう。

仏滅は値引きのチャンス!

大安や仏滅などの六曜が関係するお仕事といえば、ブライダル業界や葬儀場などを真っ先に思い浮かべます。しかし、引越し業界でも六曜が影響し、忙しい日とそうでもない日があるのは知っていますか?

引越し業界でも仏滅は暇なの?

日常でいつも六曜を気にしながら生活している人は若い世代ではあまりいないと思いますが、年配の人たちには気にする人も多いんです。

新車を購入する時の納車日は大安にしてほしいとか、宝くじを買うのは先勝の日に決めている、なんて人もいます。そういう人達は引越しもお日柄の良い大安を選ぶ傾向があります。そこまで影響力のある「お日柄」って一体何なんでしょうか。

  • 仏滅って悪い日?そもそも六曜とは

カレンダーに先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口という字が書かれてあるのを見たことがありますよね。あれが「六曜」です。

そもそも日本発祥のものではなく、あの陰陽師で有名な安倍晴明が平安時代に中国から持ち帰り広めたとする説もあります。

それぞれの日に意味があり、「大安」はその中でも万事に吉とされている日になっています。それと対照的なのが「仏滅」で、万事に凶とする日になっていて、開店や祝い事など全てが上手くいかない日だが、葬式は出しても良いとされています。

ちなみに、「友引」は、友を連れて行ってしまう、共に引かれて逝ってしまうという意味で葬式や法事をするのにふさわしくない日になっていて、火葬場は定休日とするところがほとんどです。

そんなこともあり、「仏滅」はあまり縁起の良くない日、つまり日柄の悪い日という考えが定着していったようです。

  • 仏滅の日を安くする理由とは

引越し業界でも土日祝日が大安に当たる日は引越しも多くなります。縁起が良いという理由でその日を選びたい人達が多く、あまり値下げをしなくても次々に引越しの依頼があるため総じて相場が高くなりがちですが、お客さんの側でも人気のある日なので多少高いのはしょうがないと考える人が多いようです。

ということは、裏を返せば人気のない「仏滅」は引越し件数が少ないので安くできるということになります。

引越し屋さんは店頭で「安いよー!今日ならなんと2割引で引越しができます。今日がチャンスですよー!」なんて呼び込みはできないわけで、ひたすら待ちの商売なんです。

引越し業者としても、所有しているトラックを稼働させ、従業員が作業しなければ利益はあがりません。よって多少安くしてもトラックを稼働させたいのです。

  • 気にならないと言えば嘘になる、臨機応変に

結婚や葬儀の主催者にでもならない限りは六曜なんて関わりもなく過ごしてきても、いざ知ってしまったら何となく気になるものですよね。でも、結婚式や引越しも、仏滅でも気にしない人たちも結構います。要は心の持ちようですね。

  • 自分の気持ちに無理は禁物

日本舞踊を習っていて着物を着る機会が多い、茶道や生け花など日本の文化が大好き、親から作法や立ち居振る舞いを厳しくしつけられた、という人たちは日本の伝統や風習を重んじる人が多いのではないでしょうか。

そういう家庭で育った人は、何かの行事の折りには六曜の日取りを気にすることが自然と身に着いているかもしれません。知人へのお祝いも日柄の良い日を選んでプレゼントしたりします。

引越しをするのも祝い事だからと、大安の日を選ぶでしょう。気持ちに無理をしてまで仏滅を選ぶ必要もないと思います。

  • 若い世帯の新興住宅地なら心配無用

上のような家庭環境というのは、三世代同居のような家ではありがちなことですが、その一方で六曜に無縁で育ってきた人も多いです。

仏滅の何が気になるのか全く分からないという人も少なからずいます。夫婦の世帯、小さい子どもがいる世帯、学生街、単身者の多い地域なら、別に仏滅に引っ越すことでとやかく言われることもないでしょう。

その日が仏滅であることすら気にもかけていないと思います。

  • 仮住まいで短期で異動する転勤族なら

一年で全国的に一番引越しの多くなる春先の繁忙期ではどうでしょうか?土日祝日の大安ともなれば、通常期の2倍3倍とも言われるほどの引越し料金の高騰ぶりには例年驚かされます。この時期ばかりは仏滅でもそんなに安くはなりません。

この時期は引越し業者を押さえることを第一にし、その土地に永住するのでもない転勤族であれば、根拠のないものに振り回される必要もないのではありませんか。

  • 古い民家が多い土地などでは

地域の祭りが有名で祭り開催日になるとあちこちから人が多く集まるというような土地では、祭り前の厄除け祈祷など全ての日程を六曜を基本に計画を立てることもあります。

これは極端な例ですが、そうでない地域でも、昔ながらの日本家屋が立ち並び高齢者が多く住むような集落では、六曜を常識として重んじることもあります。仏滅に引越しをするなんて今どきの若い子は、と眉をしかめるお年寄りもいるかもしれません。

建築業界では特に気をつけるべき日がある

古いしきたりを大事にするような土地柄に引っ越すなら、実はもうひとつだけ気をつけてほしいことがあります。

それは「さんりんぼう」という日です。六曜だけが記載されているカレンダーでは見かけないと思いますが、大きく書き込みができるタイプのカレンダーで大安や仏滅などの六曜の他に、一粒万倍日や不成就日の文字を見かけたことがありませんか?

それは、暦注の中の選日(せんじつ)といわれるものの一つです。
その中の「さんりんぼう」と書かれている日は、特に建築業界で忌み嫌われる日になっています。

「さんりんぼう」の本来の意味

これは漢字では「三隣亡」と書きます。これで何となく意味が通じてきましたね。

建築関係者の間では有名な大凶日で、この日に上棟式や地鎮祭、土起こしや柱立てなど、建築に関することを行うと、建築中に事故が起きたり、火事になったり三軒隣まで災いを及ぼしてしまうという言い伝えがあります。

いつが起源かはっきりせず、最初は逆の意味の「三輪宝」としていたなど諸説ありますが、どれも決め手にかけるようです。その迷信を今の時代でも守り続けているという理由は、自分のためよりも、むしろ周囲を配慮してのことだといえるでしょう。

その「三隣亡」の日を、建築に限らず引越しにも当てはめて、その日に移り住んでくることは三軒隣の家にも被害が及ぶと迷信を曲解している人が騒ぎ立てたりすることもあるので、念のため気をつけた方が良いかもしれません。

  • 仏滅の引越しでも安心!既成事実を作ってしまおう

根拠のない迷信でも、昔からの慣習を守り伝えていくことが日本人の美徳であるかのような風潮があります。

「自分はそんな迷信なんか気にしない」と思ってはいても、その土地でこれから先長く住んでいかなければならないことを思うと、周囲の目もまるっきり気にならないわけではありません。

そんな時の対策として、こんな方法があります。仏滅や三隣亡が引越しをするのに適さない日というのであれば、大安の日に引越しをすれば良いだけのことです。

考えてもみてください。仏滅の日に引越しトラックが着いたとしても、その前の大安の日に、自分で新居の中に先に荷物を運びこんでいれば、その日が引越した日になりませんか?

引越しトラックで作業員が荷物を搬入した日が必ずしも引越しの日にはならないのではないでしょうか。運ぶのは小物でも何でもいいんです。自分で運べる物はどんどん運んでしまえば、その分さらに引越し料金だって安くなります。

そして新居の掃除でもして、近隣の人に「(大安の)今日、引っ越してきました!後日トラックが着てご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」とでも声高らかに宣言してしまえば良いのです。

それでも気になったり、遠方で行き来ができないようなら、賃貸契約日や役所に出す転入届の日付に大安の日を選べば良いでしょう。そこまでしてもやっぱり気になるなら、素直に大安の日に引越した方が精神的にも落ち着いて生活できるでしょう。

まとめ

六曜を気にする人は、案外、自分の気持ちよりも、周囲の目を気にする人の方が多いのかもしれません。しかし代々その風習を大切に思っている土地もあるので、迷信だから気の持ちようと一言では片付けられないことも多々あるものです。

そんな時には、日柄の良い日に少量の荷物でも運び入れ、大安を選んで引越したことを強調し、周囲を納得させてしまいましょう。